映画「キャロル」

2月
2016
16

posted by on 読んだ本と映画とか

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わざわざスクリーンでみなければ味わえない映画というのは、
こういう映画のことをいうのではないだろうか?

儚すぎて、1mmでも「現実」が入ってしまうと
とたんに現実にもどされてしまうようなものがたり。
もし、自宅のDVDで観ていたとしたら、ここまで前のめりになってみることはなかっただろうなあ。

その証拠に、鑑賞後、明るくなったと同時に目に入ってきたのは
前の席のおばさまのパンチパーマだったのだけど、
それはそれはすごいはやさで、現実の、日本の、おばさまの、パンチパーマに連れ戻され・・・。

物語の舞台は、1950年代のニューヨーク。

デパートのおもちゃ売り場で働くテレーズ(ルーニー・マーラ)のもとに、
キャロル(ケイト・ブランシェット)が、4歳になる娘のクリスマスプレゼントを買いにやってきたところからはじまる。
二人はその後、恋に落ちるのだけれど、おもしろいのはその設定。

「あの時代にして同性愛を貫くなんて・・・」という以前に、
ルイーズには熱心にプロポーズしてくる恋人がいるし、テレーズにはそもそも夫も娘もいて、
そうした未来の「家族」、現在の「家族」が
結果として二人を恋愛にまで発展させるきっかけとなってしまうのだから。

そう考えると、もちろん純愛映画ではあるけど、
ある意味、女性が自立していくプロセスを追っているのかもしれない。

ミステリアスで魅力的なキャロルは、
あの時代の男性が求める「妻」の枠におさまるような女性ではなかったし、
だからといって、望まない生き方をつづけていけるほど、強くも鈍感でもなかった。
夫は彼女を愛していたし、仕事人間だけれどけっして悪い人ではない。
それでも、自分の気持ちをわかってもらえるのはあの時代だけに、「女性」しかいなかったのだ。

だから、たまたま求めたのは女性だった。

同性愛というのは、生まれながらにそれを求める人ばかりでなく、
環境によって生まれてくるところがあるのかもしれない。

映画.comによると、「太陽がいっぱい」などで知られるアメリカの女性作家パトリシア・ハイスミスが52年に発表したベストセラー小説「ザ・プライス・オブ・ソルト」を、「エデンより彼方に」のトッド・ヘインズ監督が映画化したのだそうな。

ケイト・ブランシェットはもちろん
とにかく、ルーニー・マーラの存在感が作品のイニシアティブをにぎっていた
といっても過言ではないとおもう。

この映画を観るなら、映画館。
それだけは、言えるなあ。